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俺としたことが、関羽をあと一歩のところで逃してしまった……。
まあいい。
あの程度の漢であれば、いつでも斬ることができよう。
孟徳は、関羽をあえて逃がしたうえ、悠然と劉備討伐の軍を動かした。
さすがは孟徳、俺の懸念は杞憂に過ぎなかったようだな。
進軍を続ける俺たちは、長坂で劉備に従う者の列に追いついた。
しかし、見れば非力な民の群れ。
俺にこいつらを斬れというのか…。 |
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<曹操>
夏侯惇、関羽のことは気にするでない。
義兄弟の絆を棄てるようであれば、それはもはやわしの求める義将・関雲長ではないからな。
この戦は、江陵へと逃げている劉備を追い、討ち取ることを目的とする。
邪魔する者は、たとえそれが民であろうと容赦するな。
お前は手勢を長坂橋前に展開し、劉備を追え。
敵は手負いの獣、思いも寄らぬ抵抗があるやもしれん。気をつけよ。 |
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<曹操>
戦の決着はついた。
劉備は民を置いて、行方知れずか……。
このわしと比肩しうる大器かとも思ったが、わしの過慮であったか。
此度のように我が軍の武威を示せば、敵する者どもは散り去るか…。
ならばそろそろ、乱世を平らげる支度にかかるとするか。 |