甄 姫 伝
 官渡の戦い
ドラマパート
私は甄姫。袁紹様の次男・袁煕様の妃です。

時は乱世。殿方は戦場に立ち、私はただ留守を守り、お帰りを待つばかりでした。

ですが、そんな退屈な日々も終わりを告げようとしています。

袁煕様が此度の戦の同行をお許しになったのです。

殿方に遅れは取りません。
この官渡の戦場で光り輝き、私の価値を上げてみせますわ…。

真の私を皆様に知っていただきましょう!
概況
<袁紹>
名族の私こそ、輝ける中原の覇者に相応しい。
成り上がりの曹操などに、その栄誉ある地位を渡してなるものか!

我らは曹操を誅するべく官渡に向かう。
兵数において我が軍は圧倒的有利。
この戦の勝利は揺らぐことはないであろう。

だが、名族はいかなる戦でも全力を尽くす!
甄姫よ、選ばれし袁家の妃は、その姿、その武とも格調高いと知らしめよ!
評定
<袁紹>
曹操の野望、砕いてやったわ。
名族の出と成り上がり者の差が出た戦であったな。
諸将の活躍も見事なものであった。

しょせん、下郎は下郎よ。
名族に触れることすら許されないのだ。
諸将もそこのところを理解し、私に仕えるようにな。

 赤壁の戦い
ドラマパート
先の戦いの後、袁紹様はお倒れになり、袁家は瓦解いたしました。

私は官渡でお会いした曹丕様の下に身を寄せました…。

曹丕様こそ、真に我が君と呼ぶに相応しい御方。

その冷徹な眼差しは天眼のごとく常に世を見通しておられます。

近い将来、曹魏な史上最も英明な君主を戴くことになるでしょう。

その傍らには、常に私の姿が……
そう願ってやみませんわ。
概況
<曹丕>
孫呉は劉備と手を結んだか。
孫権も存外馬鹿ではないようだな……。
敵は、我らの大軍に対抗すべく、奇計を巡らせてくるだろう。

父は自らの船団の威容に満足し、常時の注意深さをやや欠いているようにも見える。
私やそなたがそこを補い、全軍を勝利へ導くのだ。

甄よ、戦場でそなたを調べを聞くのは、官渡以来となるな。
より磨かれたその旋律、ここ赤壁を流れる大河の上で響かせるがいい。
評定
<曹操>
孫・劉同盟といえど、しょせん小勢力同士。
我が軍の前には無力よ。
奴らは得意の水上戦で負けて、さぞ悔しかろうな。

だが、劉備と孫権を完全に滅ぼしたわけではない。
奴らは結託して、何らかの手を打ってくるだろう。
警戒はしておかねばな。

 街亭の戦い
ドラマパート
赤壁の戦の後、天下は私たち曹魏と、劉備、孫権による三つ巴の形となりました。

そして、義父上は、志半ばにして世を去られました…。

曹魏を継いだのは我が君、曹丕様。

聡明なる我が君が天下をひとつとして治めれば、
次の時代はさぞ豊かなものとなるでしょう。

ですが、厚顔な蜀は北伐と称し、曹魏の領土を脅かそうとします。

身の程を知らぬ無粋な輩には、厳しいお仕置きが必要ですわね。
概況
<曹丕>
甄よ、これより私が曹魏の主となり、天下を目指す。
曹孟徳の覇道を継ぐのではない。
この曹子桓の覇道が、今より始まるのだ。

まず手始めに、街亭の地を蜀より奪う。
奴らは愚かにも、あの地で山頂に布陣している。
街道を奪い、孤立させてやれば終わりだろう。

甄よ、共に参れ。
うるさく吠える蜀めを返り討ちにする。
そなたの麗しい姿、散りゆく蜀の将兵たちの手向けとしてやれ……。
評定
<曹丕>
馬謖を破り、街亭を占拠した。
思い上がった愚か者が勝てる戦など、この乱世にあるはずもない。
この勝利はただの必然だ。

この戦の収穫は、蜀の人材不足を確信できたことか。
後は我が軍の精兵でじっくりと追いつめ、息の根を止めればいいだろう。

 五丈原の戦い
ドラマパート
蜀が再び攻めて参りました…。

街亭で散々に打ち負かして差し上げたというのに……。
この執拗さ、何か焦りに似たものを感じますわ。

聞けば、今の蜀を支える諸葛亮という方が、自身の余命の少ないことを悟り、
必死に曹魏を討とうとしているとか。

未来なき国を支えるその姿、心を打つものはありますが、所詮は大勢の見えない愚か者。

この私が引導を渡してさしあげますわ!
概況
<曹丕>
諸葛亮の死が近いという噂、あながち間違いではなさそうだ。
ならばこの五丈原での焦燥に満ちた攻めにも納得がいく。

諸葛亮のない蜀など、亡国も同じ。
暗愚なる劉禅を後生大事に抱いたまま、自ら沈みゆくがいい。
私はただその手伝いをするだけだ。

甄よ、焦らずとも敵は自壊する。
本陣とその周辺の守りを固め、機をうかがうのだ。
共にひとつの時代の終焉を見届けるのもよかろう。
評定
<司馬懿>
焦っている軍を討つことは、たやすいこと。
蜀軍と諸葛亮、二つの星はこの五丈原に落ちる宿命だったのだ。

孫呉の命運も、すでに曹魏が握っている。
もはや焦る必要はない。
軍備を整えて、ゆっくりと追い込んでやろう。

 合肥新城の戦い
ドラマパート
五丈原の戦いにより蜀は滅びました。

もはや、この天下には、我が君が治める曹魏と、江東から発した孫呉があるのみ。

長い戦乱の世で数々の権門、名門が失われていきました。

その中で唯一輝き続けるのは、孫呉ではなく曹魏でなくては……。

この合肥の地で、ついに天を継承する覇者が決まるのです。

我が君、最高の調べを曹魏に、そしてあなたに捧げましょう!
概況
<曹丕>
蜀との決戦に出向いている隙に、江東の盗賊に入り込まれたようだ。
自ら我が懐に飛び込んでくるとは……死に急ぎたいらしいな。

だが、当然それに見合うだけの覚悟あってのことだろう。
尚武の孫呉、その決戦の意気であれば、こちらも相応の体勢で臨まねばな。

甄よ、我らは城を死守する。
時機の到来を読み、攻勢をかける瞬間を見極めよ。
そして、私が見据えた世の先を、共に見るがいい。
評定
<曹丕>
孫呉め、さすがに虎と自称するだけはある。
我が軍をこれほどまでに苦しめるとは……。
時代の終焉にふさわしい戦であったな。

蜀が滅び、孫呉も潰えた。
もはや私を遮る者はなく、天下は曹魏の下にひとつとなる。
ふ……統べてしまえばあっけないものだ。

真・三國無双4 台詞之書