才谷 : |
「鈴花さん、どうしたがかぇ?」 |
主人公 : |
「あ、梅さん…。
また勝手に入ってきて…ダメじゃないですか」 |
才谷 : |
「ええんじゃ、ええんじゃ。
わしと新選組はマブダチじゃき」 |
主人公 : |
「また勝手なコト言って」 |
才谷 : |
「そりゃそうと、おまん。
何だかだれちゅうみたいやか」 |
主人公 : |
「ちょっと…山南さんが体調を崩して寝込んじゃってるんです…」
「それが心配で…」 |
才谷 : |
「山南さんがのう…」 |
主人公 : |
「あの、どうかしたんですか?」 |
才谷 : |
「明保野…っちゅう料亭を知っちゅうか?」 |
主人公 : |
「確か、会津藩から派遣されてきた人たちと武田さんが、
長州志士を捕縛しに行った時の…」 |
才谷 : |
「そうやか。その明保野ぜよ」 |
主人公 : |
池田屋事件の数日後に残党狩りへ出ていた時の話だっけ…
新選組の隊士たちの疲労を見かねて会津藩から応援の人たちが
派遣されてきたのよね。確か五人くらい。
東山の料亭『明保野』に長州の志士が潜伏してるって情報を得て…
武田さんが隊士と会津藩からの応援藩士を率いて出勤したんだっけ。
何か、もめてたって聞いたけど…
私はあんまり詳しく聞かされてないのよね。
いろいろ大変な状態だったらしくて、新選組でもピリピリしてたけど… |
才谷 : |
「おまんが聞いちゅうか知らんが、あの時土佐藩士が
人間違いでケガを負わされちゅう」
「新選組の名を聞いて逃げ出した、ヤツにも非はあろうがじゃ…」
「しっかと確認せんかった側にも非がないとは言えんじゃろ」
「しかも指示を出したのはおまんトコの武田さんじゃが、
実際に刺したのは会津のモンじゃ」
「それが事態をよりややこしゅうしちゅうぜよ」 |
主人公 : |
「それで、その土佐藩の人は…?」 |
才谷 : |
「今朝方ついに自刃しちゅう。
士道を立てるためぜよ…」
「実際に手を出しよったんが会津藩士なら、そもそも部隊を
率いちょった新選組も会津預かりの集団じゃろ?」
「協力関係にある会津から、こがな仕打ちを受けたことで
土佐藩の会津藩に対する心証は最悪やか」 |
主人公 : |
「あ…」 |
才谷 : |
「しかも、そいつは土佐家老の部下じゃき…
えずいことになるろう」 |
主人公 : |
それは…かなり大変な事態かも。 |
才谷 : |
「用心しとおせ」 |
主人公 : |
…とんでもないことになっちゃった。
会津藩の人達から新選組には、あまりその話は
漏れてこないし、一緒に出た武田さんも口数少ないし。
そんなところまでこじれていたなんて知らなかった… |
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